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執筆者の写真Kazuma Sahara

ダイエット・走力向上のために ランナー必見の“ヘルシー調味料”をチェック

更新日:2019年10月27日


あなたは濃いめの味付けが好きですか?

それとも、薄味で素材の味が楽しめるシンプルな味付けが好きですか?


料理の味付けに欠かせないのが、調味料。料理をされない方でも、後から塩コショウやドレッシング、お醤油など様々な調味料を足すことがあるかと思います。そのような際、味だけでなく『栄養』についても考えていますでしょうか?


今回はその『調味料の栄養』、特に脂質を中心にして考えていき、ダイエットやスピードアップなどの理想像に近づけられるようにお伝えしていきます。

前回の記事では、食材ベースで脂質についての基本事項をお伝えしています。こちらも先にチェックして頂けると、この後の解説がより理解しやすくなると思います。


脂質の栄養機能


前回の記事では“あぶら”の区別の仕方や、どれくらいの摂取量が推奨されるのかをお伝えしていました。今回は摂取した脂質が体の中でどのように働いてくれるのか?について理解を深めていき、脂質との向き合い方を更にアップデートしていければと思います。


脂質は直接的・間接的に機能を果たしてくれます。前者がエネルギー源・身体を作る材料として。後者は他の栄養素の消化吸収のサポート役として機能をしてくれます。


エネルギー源として

脂質は1g当たり9kcalのエネルギー(カロリー)があります。これは他のエネルギー源栄養素の炭水化物・タンパク質よりも(各4kcal/g)多く、半分以上軽い形で大量のエネルギーを蓄えることができます。


文明が栄える前の狩猟時代は、次にエネルギーを補えるのは現代と違って不定期になります。狩りが成功したり、果実を見つけられた時に限られるため、それまで体内にエネルギーを蓄えておく必要があります。長く動き続けるために、炭水化物・タンパク質といった重さのあるエネルギー源では負担になってしまいます。そのような目線からでも、脂肪(脂質)として蓄えておくことの役割が1つありますね。


身体を作る材料として

脂質はエネルギー源だけでなく、身体を作る材料としても機能します。

吸収された脂質は、脂肪細胞内の脂肪滴でエネルギー源として使われる時まで保存されます。また、皮膚や臓器などを作り出す細胞の膜(細胞膜)の構成成分としても用いられます。



消化吸収のサポート役として

食べた物は基本的に、水(消化液)に溶けた状態で胃腸内から血液中に吸収されていきます。しかし、水に溶けない脂溶性栄養素(ビタミンA・Dなど)はそのままではうまく吸収されません。その時、脂質がその“仲介役”として、脂溶性の栄養素の吸収をサポートしてくれます。この機能が今回お伝えする調味料の役割の1つでもあります。以下の研究をご覧頂くと、その効果の違いがわかるかと思います。


Takedaらは、健康な男性9人(平均年齢31.3歳)を対象に

  • すりおろしニンジン(図中の〇)

  • ニンジンジュース(図中の●)

  • すりおろしニンジンと植物油(図中の▲)

  • すりおろしニンジンとマヨネーズ(図中の■)

の4つそれぞれの形で、ニンジンに含まれるβ—カロテン(ビタミンAの前のになる前の状態)の血液中への吸収量を測定しました。全てのグループでは、同じβ—カロテン量を摂取しています。図1のように植物油やマヨネーズを一緒にニンジンと食べた▲と■では、そうでないグループより血中β—カロテン濃度が高くなることがわかります。

また、図1の変化量を積み上げたものものが図2になります。


このように、脂溶性ビタミンを含む野菜をサラダでそのまま食べたとしても、吸収されにくいことが分かります。植物油を含むオイルドレッシングやマヨネーズと合わせて召し上がることで、そのまま食べるよりも3~4倍もの量の脂溶性ビタミンを吸収できるようになります。

Takeda S et al., J.Nutri.Sci. Vitaminol., 57:209-215(2011)


またドレッシングだけでなく、サラダと一緒にスクランブルエッグを食べることでも上記の同様な効果を期待できます。これも卵に含まれる脂質と炒め油による効果であると考えられます。

Kim J et al,. Am J Clin Nutr. 2015 Jul; 102(1): 75–83.


『材料のポテンシャルを最大限に生かす。』

これが調味料の大きな役割になりますね。


調味料ごとの脂質量をチェックしよう!


今回も各調味料の脂質量を目安にグラフィックを作成致しました。

いかがでしょうか。あなたのイメージと合っていますでしょうか?これらをどのように生かしていけばよいか、チェックしていきましょう。

上位カテゴリーは『量』に気をつけよう

図の上位ほど脂質量が多くなりますが、特に最上位のマヨネーズやバター、ラー油は7割以上が脂質になります。


「だから、食べてはいけない」という訳ではありません。先ほどのβ—カロテンの研究で示したように、食材・料理のポテンシャルを引き出してくれるのがこれらの強みでもあります。そのためにも『量』をしっかりと調整できれば味方につけることができます。


研究ではニンジン100gに対して植物油・マヨネーズ『大さじ1』程度の量(約15g)が用いられていました。目安量としては以下のようなイメージになります。

大さじ1:15g 61kcal
大さじ1:15g 61kcal

重さ:10g  40kcal
重さ:10g 40kcal

毎回、大さじで計ってかけていては面倒だと思いますので、1度だけ計って目安の量を目で覚えておくようにしましょう。そうすれば、出先でもこれくらいかなという応用を利かすことができますね。


カレーも意外と脂質が多い


誰もが大好きなカレー。大会前などで“勝負飯”として召し上がる方もいらっしゃるのではないでしょうか?


カレーのルウには100g当たり35g前後の脂質が含まれています。1人前のカレーライスをになると、ご飯や具材を含めるた脂質量は30gほどになります。これは1日エネルギー必要量が2300kcalの方の場合、1食当たりの平均脂質量をカレーライスのみでオーバーしてしまいます。また、レース直前の“勝負飯”としてたくさん食べると消化吸収の負担が増え、胃腸トラブルの原因になる可能性もあります。


少し活動量が多い日に通常の量で食べるようにしたり、残りの2食で1日の摂取量を調整するなどして摂り過ぎないように気をつけましょう。


ヘルシーと言えば、やはり和食


醤油や味噌など、和食で使う調味料には脂質が少ないのが特徴です。その中でも多い味噌でも100g当たり6g前後と、上位カテゴリーの何倍も少ない量で抑えることができます。日本のモノを活かす『地産地消』の目線からでも、これらの調味料を使った『和食』がオススメできる所以の1つですね。


デメリットとしては塩分量があります。そのためにも、出汁を利かせると塩分で美味しい料理が作れます。最近では濃縮液体出汁がスーパーの店頭に置かれることもあり、お水に少し加えるだけで美味しい出汁が作れる優れものです。料理したいけど時間はあまりない方には是非オススメです。


塩分の代わりにお酢を使うことも1つの方法です。全ての食品で代替できる訳ではありませんが、醤油を少し減らして隠し味程度にお酢を入れるとさっぱりとした料理に仕上げることができます。健康面でも、お酢に含まれる酢酸やクエン酸などの有機酸には腸の働きやエネルギーを効率良く生み出すことにプラスに働いてくれますよ。


使い分けて食卓を豊かに


悪者扱いされがちな脂質ですが、メリットになる側面もしっかり持ち合わせています。

それを理解した上でより良い食選択ができれば健康スキルの向上、そしてダイエットや走力向上といった目に見える結果が手にできると思います。


その日の活動量やその時の料理の種類など、様々なシチュエーションで使い分けて食卓をより豊かに、そしてランニングと共に健康維持の実現をしていきましょう!


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